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眼鏡からちらりとのぞく瞳が厭らしい。
熱に浮かされぼーっと江澤を観察していた俺は、あらぬ所に受けた刺激で意識をはっきりさせることになった。
「気持ちよくなってきちゃった?ここ起ってきてる」
「っ!や、やだやだ!」
この雰囲気と不本意だが胸への刺激で緩々と自己主張を始めた俺の下半身を握った江澤はとても楽しそうに笑っていた。
「ほらこっち向いて」
江澤の大きな掌でクルリと方向転換された俺は、美術室の堅い椅子の上ではなくて暖かい膝の上に跨る格好になっていた。
この膝の持ち主が誰であるかなんて、ここには俺と江澤しかいないのだから……。
腰を抱かれ、腰と腰がぶつかると自分の以外の堅い存在を感じる。
どうして江澤も大きくなっているかなんて俺には分からない。
俺に分かったことは1つだけだった。
「江澤も、起ってる……」
「そうだよ?柿崎が可愛い顔して俺を見るからこんなになったんだよ?」
素面の俺なら「気色悪いこと抜かすな!」とか言って応戦しそうなのに、そんな事をこんな至近距離で熱に浮かれたような顔で言われてしまっては、正常な判断が下せない。
誰もが羨む完璧ボーイの江澤が俺を見て興奮している。
こんなどこにでもいそうで何も突出したものなんて持ってない俺に。
なんだかそれがとてもかわいく思えて仕方なかった。
「江澤かわい……」
「可愛いのは柿崎だろ?」
どちらからともなく顔を寄せ合った。
気づけばキスをしていたが、不思議と離れたいなんて気持ちは全然なかった。
触れるだけのキスから舌を絡ませあうようなキスに発展するのに時間はかからなかったのは必然だと思う。
熱に浮かされた頭の中では『眼鏡邪魔だなー』くらいにしか思っていなかった。
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