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「そのまま俺にしがみ付いてな」
コクリと首を縦に振り、キスをより深いものにする。
2人の間に隙間なんて許さないかのように。
大人のキスで成長しきった俺の下半身の服をを慣れた動作で肌蹴させると、江澤はそこを上下にさすり始めた。
「あっ、あっ!」
人の手の感触なんて初めてで、キスや空気に酔っていた俺の限界はすぐだった。
「だめっ、江澤っ……」
「っ、ちゅっ。可愛い柿崎」
「あっ、あっ、んっ!」
少し強めに先端に爪を立てられた俺は呆気なく欲望を解放させてしまった。
はぁはぁと整わない息を江澤の膝の上で必死に整えようとする。
達してしまったからなのか、さっきまでの熱に魘された思考が嘘のようにクリアになる。
おい、まて、俺はいったい何を……。
「達ったんだね。じゃあ次は俺の……」
「ぎゃー!!」
熱っぽい息を吐く江澤に誘われた俺の右手の先は、よく見慣れているというか生まれた時から見てきた場所だった。
まあ普通はそんな状態になっていないのだろうけど、やはり江澤も大分エレクトしているようで、触れた下半身は俺のが恥ずかしくなってしまうくらい立派な大きさだった。
よく身長の高い奴はあそこもでかいとか言うけど本当だったんだな……とか考えながら自己逃避を続けていたが、制服越しではなく直に熱を感じた瞬間、俺は江澤を突き飛ばしていた。
うん、正に火事場の馬鹿力。
「ご、ご、ごめんなさーい!」
肌蹴た服を直しながら、一目散に美術準備室を出る。
後ろから俺を呼ぶ江澤の声が聞こえたけど、立ち止まることなんてできない。
おいおいおいおい数分前の俺。一体全体どうなってああなったんだか今の俺に説明をして欲しいくらいだ。
奴は出席番号 4番。江澤怜人。
俺のコンプレックスを刺激しまくりの、俺が嫌いで嫌いでしょうがない相手だったはずだ。
なのになぜそんな相手とキスしたり、手コキしあったりしてたわけ?数分前の俺!
「あー!もう嫌だ……」
美術の課題とか、今後の江澤との関係とか。
考えることはたくさんあると思うけど、とりあえず今は早く家に帰りたい。
なぜかその日は夕焼けが目に染みて、俺は年甲斐もなく泣いて下校したのだった。
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