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この星に着陸するために下降が始まっている、着陸球は大きな水滴のような物体だ、僕を包んで地上まで自由落下する、水滴は高レベル衝撃吸収剤で耐火時に体積が12倍にも増えて発泡するお陰でこの星の大気圏突入の摩擦に容易に耐えられる、着陸地点は海岸沿いの小さい飛行場、旅客機の姿は見えないから公的なものではないだろう、即ちそんなに迷惑はかからない。
暫くすると突然全身にのしかかる重力を感じた、地上に着陸したのだった。
久しぶりの重みはバランスの取り方を思い出させる煩わしさよりも、上下がある安心感を思い出させてくれた。
僕の予想だが、いきなり歓迎されて来賓客待遇ってのは無いだろう、やはり警察か軍隊に保護される事になり受け入れ先やなんやらを決めた後外交官かなんかに保護されるなんて思っていた。
はじけ飛んだ衝撃吸収剤の残りを剥がし僕の全身を露わにする。
海に沈む太陽光を大気が乱反射して大きな赤い光に包まれた地上、ここは圧倒的なエネルギーに抱かれた星だ。
その大地に僕はやっと立ったのだ。
この星の知的文明体は我々の身体の半分以下の大きさしかない、惑星の規模と重力から想定されたものだが、それがプロフィールの内容だった。
僕からみたら皆小人のような感じだろう、自分や故郷の人々と比べてスタイルは変わらず全身を縮小されたイメージだ、大きさ以外は全く同じに見えるはず、遥か遠く離れた人間になんの関連性があるのか疑問に思うが、それよりも。
「はじめましてハルキと申します」
第一線を張り上げる、しかしそれに応えてくれる人は誰もいなかった。
「え、なんで、誰もいないの」
見渡しても誰一人いない、ぽつんと僕一人だけ。
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