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「え、そうなの」
「はい、彼はさっき被害者の女性を襲っていたのではなく、コントの練習をしていたそうです、被害者の女性が言っていました。
彼は世界最高身長のギネス記録に挑戦するためにこの街のラジオ局にアメリカから呼ばれてきたのです。
名前はハルキ、帰国子女なので日本語はあまり得意ではないとの事です」
「ふーん、なるほど、タレントさんか、そんな感じしたよ、身元引受人の方は」
「その被害者の方ですラジオ局に務めていまして、彼を日本に招いたのも彼女の番組です」
「なんだ了解、じゃ釈放だな」
なにかよく分からなかったが僕は自由の身となった。
あまりにも建物の中が狭く、僕の身を案じて(エコノミー症候群?) 待合室ではなく屋外の駐車場に通された、そこでしばらく待っていると、背広姿の年配者の方が話しかけてきた。
「しかしデカいね、スポーツとかやってるの」
「いや故郷では低いほうですよ、遺伝子検査では運動能力の適性はCでしたから」
「はあ」
「スポーツは苦手ってことです」
「ハ、ハルキさん」
「おー、えっと森永さん、貴女が僕を助けてくれたのですか」
「え、ええ、さあ行きましょう」
僕は彼女の所持する小さな自動車の後部座席に横向に押し込まれてこの場所を後にした。
なにしろ助かった、最悪とも言えるこの旅で森永さんみたいな良い人に出逢えた事は救いになる、まだまだ僕の夢は萎えたりしない。
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