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「それで、ゆ、ゆゆゆ、ユーくん。探し人たるルムとやらの特徴はどんな感じかな?」
「ルムはね、かっこいいのっ。初めて会った時、怖い人たちから助けてくれたんだぁ」
「……へえ」
ギヂ、と空間が軋む。異様な圧が炸裂する。
だが、幸か不幸かユーがそれに気づくことはなかった。探し人であるルムの外見的特徴について鬼神へ伝える。伝えてしまう。
……探し人の秘密さえも。
ユーに悪気はなかっただろう。良くも悪くもそんなものを気にしていなかっただけだろう。探し人について話していくうちにポロリと漏れてしまっただけだろう。
「元男? 《魔女》の呪いで性別が変わった???」
「うんっ」
(あらかわいい……ではなくてっ。性別変換魔法? そんなもの聞いたことわね。大体、女だけが魔法の才能を開花させることができるってことは、その性別変換魔法使えば男から魔法使いを生み出せる可能性すら浮上するわ。本当に性別変換魔法が存在するなら、ルムとやらに嫌がらせみたいに呪いをかけるために浪費するわけない。世界の半数、手つかずの戦力である男を集めるだけで一つの巨大組織を作り出せるのよ。無駄に披露して、露見するリスクを背負うわけがない。つまり、呪いとやらは性別を変えているわけじゃない。変えていたとしても、魔法の才能までは獲得できない役立たずってわけね)
『この世界のルール』で判断し、鬼神は小さく息を吐く。呪いで『女』の姿形をしているなら興味は湧かない。
「人の性別を弄くり回すなんてふざけた話ねぇ」
「うんっ」
「……普通逆でしょうに」
「逆?」
「女から男だったら、最高なのに。小さければ、なお良しね」
欲望がダダ漏れであった。
マニアックな性癖の持ち主であった。
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