第一章 麗しき少女よ、汝の正体は

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叫んで、そしてなぜか涙目の陽香と目があう。 彼女はほっぺをぷくうと膨らませて、 「大和っちって性転換とか女装とかふた○りさんとかそっち系が好みなわけ!? 今から魔法でお○○○でも生やせばいいの!?」 「ぶふ!? なん、何を……ッ!? どこがどうなってそんな話が飛び出してきた!?」 「キミって特殊性癖持ちなんだね。分かるよその気持ち。大勢から忌避されているからこそ興味が湧いちゃうんだよね。そうなったら、踏み込んだら、そこからは泥沼っしょー。うんうん、分かる分かる」 「人をアブノーマルと見なすな共感するな!」 「……なんで僕を助けてくれる人って変態ばっかなんですか……」 「おいそこ! 命の恩人に向かって随分な言い草だな!! テメェを徹底的にいたぶって奴に突き出せば、高確率で俺たちだけは逃げ切れるっての分かってんのか!?」 「いたぶって……やっぱり変態じゃないですか!」 「テメェ一体全体ナニを想像したこらぁ! 本当に想像通りのことしてやろうかあ!!」 「な……っ。近寄るな変態っ!」 「て、テメェな……! そーゆー想像するテメェのほうがむっつり変態野郎ってことじゃねえのか!?」 「お前たちと一緒にするなっ」 「馬鹿かっ。元男で現女なんて妄想拗らせているテメェの精神性は立派な変態なんだよ!!」 「妄想って……ボクは《魔女》の呪いで女にされたんですよ!」 「ハッ。性別ってのは不可侵だ。エリスを蝕んでいた実験は世界を統一している単体最強組織たる統一政府主導だったが、性別変換なんてもんには欠片も到達できていなかったくらいなんだぞ!! 性別変換魔法なんて理想が存在するわけねえだろっ」 「あ、合わせなきゃよね。大和っちがそれを望むなら、私はこの身体を捨ててでも大和っちの好みに合わせてやるうーっ!!」 「待て待て陽香誤解したまま突っ走るな待てってえ!! おいおい少し目を離したらどこまで迷走してんだ!? 大体だな、俺の好みはめちゃんこ狭いんだ。世界でも一人しか当てはまらないほどになっ。だから弄るな、いや弄ったからって気持ちが変わるわけねえが、とにかくこれ以上めんどくせえ方向に話を持っていくなあ!!」
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