序章 定められし結末に剣を突き立てろ

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5 「トライアングルネットワーク? なにそれ???」 「第零騎士団団長なのですから、『禁式』レベルの仕事内容について把握しているべきでは?」 「『禁式』ってことは難易度マックスってことだろー? 俺らがどうこうしなくても、他のが解決するってー」 「はぁ……。とりあえず情報を整理しましょうか。トライアングルネットワークとは三つの犯罪組織を中心に世界各地の犯罪組織を薄く広く繋げるネットワークです。組織や同盟ほどに強固な繋がりを持たない代わりに一つの組織を洗っても全貌は把握できないんですよね」 「それで?」 「トライアングルネットワークは情報共有の目的で各犯罪組織が利用している……となっていますが、実情は中心に位置するはずの三つの犯罪組織さえも『中継役』に呑み込まれているのです」 「へえ」 「利用しているつもりがされている。自分の意思で動いているはずが、『中継役』の意思に動かされている。世界158カ国十万以上の犯罪組織が本人たちも気付かぬ内に『中継役』の手先となって動いているわけです。上層部が危惧するのも納得ですよね」 「今時の犯罪組織が口先で惑わされているわけねーしな。何せ魔法があるんだし。そーゆーのを探知する仕組みを構築するのは基本だ。だってのに、現代でそれだけの犯罪組織を誘導できるってことは……」 「それだけ強大な魔法を持っている、ということですね」 「敵さんの名は?」 「世界を統一し、強者が集う単体最強組織たる統一政府でも全貌を解明できていないからこそ、『禁式』として設定されたのですよ」 「なるほど。ちょっとは楽しめそーじゃねーか」 6 これは定められた結末……の外に位置する新たなる軸。『悲劇』として語られ、しかし全貌が提示されていなかった物語へと異界の理が介入する。 無数に存在する『可能性』の外から。 『天上』の理でさえも見通せない物語が始まる。
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