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東城大和と行動している女は一般的な魔法使いである。風を操る魔法を得意とし、鋼鉄を粉砕する程度が関の山の力の持ち主。もちろん核の時代を終わらせた統一政府でも最上位に位置する『東の魔女』相手に真っ向から敵対したって赤子を踏み潰すように呆気なく殺害されるだろう。
だから、勝負なんて挑まなかった。
地面と平行に突き抜ける竜巻は一直線に東城大和と『彼女』を呑み込み、天翔る龍のごとき勢いで上空へと吹き飛ばす。
すなわち逃走。
勝ち目がない勝負なんて挑まず、生き残る道を選択する。『エリスの時のような悲劇は二度と見たくない』から、東城大和は生存の道を選び抜く。
2
無事に着地……とはいかなかった。
「がぶっ、ごぶべぶっ」
遥か上空から落下した際、空気がクッション代わりに展開されたが、完全に勢いを殺しきれなかったのか、鈍い音と共に雑草の上を転がっていく。
町外れの墓地近くにある原っぱまで吹き飛ばされたようで、いくら空気の膜で保護されていたとはいえ、異様な負荷がかかっていたのか身体の奥から嫌な音が連続する。
「くそ、が……骨が折れてねえだけマシってか……」
「……う……」
一緒に吹き飛ばされた『彼女』が呻く。
意識が混濁しているのか、すぐに目覚める様子はないが、東城大和同様骨が折れたりといったことはないようだ。
「大和っち、大丈夫?」
ふわり、と彼らの横に降り立った少女が心配そうに東城大和(と『彼女』)を見つめる。少女の名は陽香。東城大和たちを逃がすために風の暴風で彼らを薙ぎ払った当人である。
「大丈夫大丈夫……ああくそ。死ぬかと思った」
「まったく、相変わらずなんだから」
「うるせえ。くそったれな『女』だろうがな、目の前で死なれちゃ気分が悪いだろうが」
「はぁ。で、これからどうするの? 相手は統一政府でも最高ランクに位置する『魔女』よ。東の魔女の一言で核の時代を終わらせたほどの暴力が私たちを殺すために解放されるわ。真っ当な手段で立ち向かったって勝てないわよ」
「…………、」
「やーまーとーっちー?」
「う、うるせえな! なんだよ考えなしに飛び込んだのそんなに悪いか!? 俺だって東の魔女なんてド級の怪物相手にしたくはねえよ!!」
「まったく……」
「うう」
「で、これからどうするの?」
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