第2章 天使アニエル、来訪

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吸い込まれてしまいそうなほど輝きを放つ切れ長のエメラルドの瞳。 すっと通った高い鼻と、緩やかに弧を描く形の整った唇。 見た目の年齢は、恐らく颯人よりも少し上くらいの20代半ばといったところだろうか。 スラリとした長身と、優雅な身のこなし。 ジャニ○ズもびっくりな美形がいたもんだと、変に感心しながら颯人はその天使に目を奪われてしまっていた。 そしてそれはライラも同じだったらしい。 しばらく惚けたように見ていたが、ようやく我に返ったようで慌てふためきながら天使へと相対する。 「……見習い悪魔ごときが弾き返すなんて、って思ったんスけど……なるほど。あなたの魔法だったんスね。 アニエル様」 呼ばれた天使は茶髪の悪魔へと、そのエメラルドの瞳を向けた。 白いローブがはためくと、そのローブの隙間から金色の刺繍がされた白い長ズボンが覗き見える。 「……まぁ、僕くらいになると天上界では名を知らない者はいないか。 でも話が早く済むから助かるよ。 ラグエル天使教官の門下生、ライラと言ったね」 金髪の天使は微笑みを絶やすことなく茶髪の悪魔を見返す。 その所作すら華麗に見える天使は、しかし微笑みを湛えながら、実に辛辣な言葉を口にした。 「僕の実力は知っているだろう?君では相手にならないよ。今なら見逃してやってもいい。おとなしく天上界に帰りたまえ」 やや高慢なその態度に、颯人は思わず顔を引きつらせてしまうが、言われた悪魔の反応はこれとは違うものだった。 羽根を羽ばたかせながら後退りすると、脱兎のごとく身を翻し、瞬く間に空の彼方へと消えて行ってしまったのだ。 ……つまりは、この天使はその口で言うだけの実力を本当に携えているということだろう。 しかし自分で実力を口にするのは日本人の感覚としてはあまり誉められたものではない。 とは言っても、天使とやらは恐らく日本人ではないのだから、この感覚を強要するのはお門違いであったと思い直し、颯人は何とも言えない表情でその天使を眺めていた。 「ラビ様」 「アニエル!助かったぞ。おぬしにはいつも世話になるのう」 「……ラビ様」 「少し痩せたのではないか?いくら天使といえども、少しくらいは食べ物を口にしなければーー」 「ラ・ビ・さ・ま!!」
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