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何やら笑顔で早口で捲し立てるラビに対し、金髪の天使ーーアニエルは、大層御立腹らしかった。
エメラルドの瞳がキッと細められ、ちょうど頭1.5個分くらい小さいラビを容赦なく睨み付ける。
「ラビ様!!あなたはどうして無茶をなさるんですか!?僕が間に合ったから良かったものの!あのままでは黒焦げになっていましたよ!!」
「う゛ー……べつによいではないか」
「よくありません!!だいたい何です!?鳥取砂丘をフラフラしていたかと思えばスカイツリーを見に行くなどと言いだして!!僕がどれだけあの辺りを探し回ったと思っているんですか!?浅草寺の常香炉の中からスカイツリーのマスコット、ソラ○ラちゃんの着ぐるみの中まで!血眼になって探したんですからね!」
「お、おぬしマジでやったんか……?それ……」
「そしたら結局横浜ですか!?しかも……また人間なんかと一緒にいて!」
そこまでいい終えた金髪天使の瞳が、今度は後ろにいる颯人を睨み付けてきた。
その迫力に、思わず颯人は後退る。
……美男子のキレた顔というものは、なかなか怖い。
それが整っていれば整っているほど増すものだと、変に実感してしまった気がする。
「まぁ、あまり騒ぐと向かいのおばちゃんが怖いのだ。とりあえず中に入ってゆっくり話すとしよう。ハヤトもわしのせいで状況が飲み込めておらぬはずだし」
宥めるようなラビの言葉に、金髪の天使は何か言い掛けた言葉をグッと飲み込んだ。
……未だ、颯人を睨み付けてはいるが。
どうやら渋々了承したらしい。
……しかし。
「(また変なの増えちまった……)」
どんどん遠退く颯人の夢。
もはや目眩すらしてきたことを述べたところで、恐らく状況は変わりはしないだろうことは、何となく理解できていた。
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