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テーブルを挟んで三人。
天使やら悪魔やらがお茶を飲むかは不明だが、とりあえずお茶をだして颯人はソファーへと着席した。
座布団に座っているラビが席を勧めたものの、金髪の天使は座ることなく、腕を組んだまま壁に寄りかかって立っていた。
……なんとなく、颯人はこの金髪天使に警戒されている。
そう感じたものの、どこか口に出すのは憚られて、颯人はひたすら無言を貫いていた。
「まず、ハヤトに紹介せねばならぬな」
ラビがチラリと視線を遣るも、金髪天使は仏頂面で颯人を睨み付けたまま。
自分から自己紹介をする気はないようである。
それを見越してか、ラビはそのままこの金髪天使の紹介へと入った。
……のだが、
「こやつは天上界でも"ぶっとびナルシス天使"と呼ばれててのう、まぁ確かにその美貌と実力は誰もが認めるのだがーー」
「そんな名前で呼ばれていません!!それはラビ様がそう呼ぶだけでしょう!?
それに僕は現に容姿端麗ですし、天使教官をも凌ぐ実力を持っています。
格好いいものを格好いいと言って、強いものを強いと言って何が悪いんです?」
「……とまぁ、なかなか重症なのだ。この"ぶっとびナルシス天使"アニエルは」
「ラビ様!!」
恐らく的を射ているのだが、実に反応に困る他者紹介をしてくれた。
苦笑いをするしかない颯人に、ラビはイタズラが成功した子供のように愉快げに笑っている。
「……えと、天使と悪魔は……その、仲が良いのか?天上界?とかっての?なんか色々わからねーけど……」
とりあえず、紹介されただけでは今の状況は飲み込めない。
まず悪魔とは何なのか、天上界とは何なのか。
そこから説明してもらわないと困るのだ。
するとそれを察知したラビがチラシの裏に何やら書き始めようとしたのだが。
「ラビ様、僕が説明します」
「む、なぜだ?」
「ラビ様は絵がド下手くそでいらっしゃるので。むしろ混乱を招きかねません」
「む~~!!」
毛虫のような物に手足を生やしかけていたラビのペン先がピタリと止まった。
変わりにラビの尻尾が不愉快そうに揺れ始めるが、反論しないところを見るに、事実なのだろう。
というより、この書きかけの物体を見るに間違いなく事実だ。
「イラストなど書かずとも、僕が簡潔に説明してみせます。
いいか、人間。よく聞いておけ」
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