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いつもの部屋。
いつものリビング。
いつものソファー
を占領しているのは、黒い物体。
静かに寝息を立てながら、時折頭上の猫耳がピクリと動く。
気絶してしまった自称悪魔の処分方法に迷った颯人だったが、こうしてリビングのソファーに寝かせ、一定の距離を保ちながら様子を見続けている。
……警察に任せることも考えたが、色々と面倒になるのは間違いなかった。
それに第一発見者としてマスコミに押し掛けられるのも勘弁していただきたい。
よって自称悪魔の回復を待ち、意識が戻り次第、速やかに帰宅していただこうと考えたわけであった。
「(……コイツ、男か?女か?)」
そもそも悪魔に性別があるのかも定かではないが、非常に中性的な顔立ちをしている。
伏せられた睫毛は長く、華奢な身体つきからして女の子に見えなくもない。
が、あの独特な話し方からして男と考えるのが妥当だろうか。
「(これ、本物なんだよな?)」
黒髪から生える猫耳を恐る恐る引っ張ると、感触は間違いなく猫のそれである。
そしてしっかりと頭から生えていることもわかった。
コウモリのような羽も付いているのではなく、間違いなく生えている。
……いっそのこと、まがい物であった方が格段に良かった。
こんな奇怪な生物を発見して喜べるような器を、逢澤颯人は持ち合わせていない。
「(……猫人間?いや、コウモリ人間か?)」
フサフサとした尻尾も、まるっきり猫の尻尾そのものである。
黒い尻尾の根本を掴むと、僅かにユラユラと揺れる尻尾。
その感触を楽しむように、掴んだまま先端に向かって撫で上げる。
そして尻尾の先端が掌を通った、その時。
「っひゃ!?」
「っ!?」
何やら悲鳴のような声と共に、突然自称悪魔が覚醒した。
ガバリと起き上がったかと思うと、不思議そうに金色の瞳をパチパチと瞬かせる。
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