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俺の気持ちは、もう定まった。
そうやって、匡が逃げるなら。
俺が追いかけるしかないだろう。
躊躇なく、親戚たちから離れて、匡が逃げ出したほうへと、人の流れに逆らって足を進める。
どうして、こういう時に限って、思い通りに前に進めないんだろう。
「すみません、あ、すみません。」
何度も人とぶつかりながら、そして何度もの謝りながら、匡が逃げ込んだと思われる神社の入口に向かう。
花火大会の人出を当て込んだように、境内では屋台が並び、それを楽しんでる人々。
思いのほか人が多くて、舌打ちしたくなる。
屋台の前の人を覗き込みながら歩くと、ようやく匡の後ろ姿を捕えることができた。
やっと、見つけた。
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