カルテ1ー2

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「陣内、こんな事してる暇ないでしょーが。 いい加減にしないと私だってキレるわよ」 冷たいタイルの感触がスクラブ1枚の背中を通して伝わってきてブルブルと震えがきた。 「寒いし、どいて」 「直ぐ終わりますから」 「は?」 直ぐ終わる? 「忙しい者同士のヤり方で」 「じん、ない?」 心拍の軌道がまた、逸れた。 よく考えてみればこれは、更年期症状のありふれたパターン、動悸。 動悸だ、動悸。 「ちょ、陣内、!ひぃ、あっ!!」 いったい、この狭い個室で何をしてるんだというぐらいに壁に押し付けられた。 「じんないっ!! ま、ま、まっ、はやまるな!!!!」 ちょ、ちょっとぉ! あんた何やってんのよっ!!! バタン、ドタン、と暴れてみるもののこんな時に限って誰も来ないってなんなのヨーーーー!!! 「ちょっと!なに、なにそれっ!なにっ!!」 スクラブのズボン越しに感じるのは もうあからさまに勃ち上がった陣内のモンスター。 「なんでこんなデッカぃの!!?」 「ヤル気満々だからじゃないですか?」 興奮した下半身とは別物のように真面目腐った顔と、いかにも落ち着いた口調。 「は、犯罪よ、犯罪、陣内、これ犯罪!」 「有馬さん、イライラすんのは足りないんですよ」 「なにがよっ!」 にっこり、と笑った陣内。 背中のタイルの冷感にも勝る刺激がザクザクと駆け抜けた。 「幸せホルモン」 「いい、自分でなんとかするからいいっ! だから離して!」 私はブンブン首を振って、この小綺麗な陣内のマスクを遠ざける。 「自分でして出るホルモンと、男に挿されて出るホルモンじゃ、質が違います」 な、な、な、なにこれ。 陣内、ちょっと激変し過ぎ! なんでそんな甘ったるい声出してんのよっ! 「い、いやっ!!」 どんな早業だ、こいつ!と思ったのは お尻に直に感じたタイルの冷たさのせいだ。 こ、怖くて、怖すぎて、みら、見られない。 ずり下げられた2枚、剥き出しになったそこに当たってるモノもどー考えたって、ごたーいめーん。 「や、やだ、陣内! マジで離れて、離れてよ」 自分の声が心なしか震えていた。
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