カルテ1ー2

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医局に戻って一番気になってた事を確認する。 チラリ、と盗み見た。 何処をって、そりゃ陣内のコカーン。 だって、つい1分くらい前まではあんなにモンスターだったんだ。 あ、へぇ、そんな程度か。 シーンとしていた。 案外切り替え早いのね、ってちがーう! 違うぞ! おかしいからね? 38にして初めて、貞操の危機を知る!みたいな。 いや貴重な経験有り難う。 上がったよね、経験値稼いだよ。 最近滞ってたから、レベル。 なんなら下がるんじゃないかってい 「有馬さん」 ビクリ、と振り向いた方に陣内がおいでおいでをしている。 「え」 「え、じゃないですよ、行きますよ?」 「有馬先生、ほら、救急車!」 また更に振り向くと看護師長がふんぞり返っていた。 「有馬先生!」 「あ、はい、はいはい行きます」 看護師長はちょっとおねえさんのキャリア看護師さんで、ERを取り仕切る前は外科の総括をしていたベテランさんだ。 現場の事も、上の事もよく分かっていて 誰も文句言えない。 怖くて。 いや、怖いぐらいじゃなきゃ駄目だと思うからいいんだけど。 さっきとは反対に、陣内に主導権を握られている気がして癪に障ること、障ること。 救急入口で囁かれた。 「いつまでも勃ってる訳ないじゃないですか。 変態じゃあるまいし」 バッ、と見上げた陣内の顔は、いつも通りなんの面白みもなくて クソにクソが重なるくらいにクソ真面目腐っていて 私と目が合った陣内は、その顔のままポソリ。 「埴輪みてぇ」 「は?」 は? はに? はに、何? はにわ?? 「ハニワって、なに!?!」 我慢できなくなりガツ、と掴んだ陣内の首。 「有馬先生!なにやってるんですか!」 「先生、落ち着いて!」 "陣内先生の首をぎゅうぎゅう締める有馬先生" の物語は、このあと何日かに渡り語られ続けた。 もう、なんかリズム狂いまくり……。
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