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医局に戻って一番気になってた事を確認する。
チラリ、と盗み見た。
何処をって、そりゃ陣内のコカーン。
だって、つい1分くらい前まではあんなにモンスターだったんだ。
あ、へぇ、そんな程度か。
シーンとしていた。
案外切り替え早いのね、ってちがーう!
違うぞ!
おかしいからね?
38にして初めて、貞操の危機を知る!みたいな。
いや貴重な経験有り難う。
上がったよね、経験値稼いだよ。
最近滞ってたから、レベル。
なんなら下がるんじゃないかってい
「有馬さん」
ビクリ、と振り向いた方に陣内がおいでおいでをしている。
「え」
「え、じゃないですよ、行きますよ?」
「有馬先生、ほら、救急車!」
また更に振り向くと看護師長がふんぞり返っていた。
「有馬先生!」
「あ、はい、はいはい行きます」
看護師長はちょっとおねえさんのキャリア看護師さんで、ERを取り仕切る前は外科の総括をしていたベテランさんだ。
現場の事も、上の事もよく分かっていて
誰も文句言えない。
怖くて。
いや、怖いぐらいじゃなきゃ駄目だと思うからいいんだけど。
さっきとは反対に、陣内に主導権を握られている気がして癪に障ること、障ること。
救急入口で囁かれた。
「いつまでも勃ってる訳ないじゃないですか。
変態じゃあるまいし」
バッ、と見上げた陣内の顔は、いつも通りなんの面白みもなくて
クソにクソが重なるくらいにクソ真面目腐っていて
私と目が合った陣内は、その顔のままポソリ。
「埴輪みてぇ」
「は?」
は?
はに?
はに、何?
はにわ??
「ハニワって、なに!?!」
我慢できなくなりガツ、と掴んだ陣内の首。
「有馬先生!なにやってるんですか!」
「先生、落ち着いて!」
"陣内先生の首をぎゅうぎゅう締める有馬先生"
の物語は、このあと何日かに渡り語られ続けた。
もう、なんかリズム狂いまくり……。
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