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……ほら、やっぱり。
やっぱりね。
言わんこっちゃない。
「ちょっとしたジャングルですね、有馬さん」
「じゃ、じゃんぐる?」
「これじゃできないわ」
嫌な予感は的中で。
「な、なにがよっ」
「セックス」
「がっ!!」
おじゃましまーす、とやっぱりクソ真面目な顔で上がり込んだ陣内はパチリと自分の家のように電気をつけてシャアシャアと言い捨てた。
いつの使用済みか定かではないタオルや
脱ぎ散らかした部屋着を纏めて部屋の隅へ置いて
パンパンと両手を払い失礼極まりない仕種をみせる。
そんなに汚れとらんわー!
突っ込みたい所をワザワザ我慢してやったにもかかわらず
「で、これ、互い違いにしたのは自分でイケてるなんて思ってないでしょうね?」
上を指差したのは、4つある玉のうちひとつ置きに残った光る玉。
陣内は、ムカつく。
「お、思ってないわよっ、タマタマよ!
秋に切れたのが端っこので、昨日切れたのがこっちよ」
ムキになると殊更怪しさを増すのは言うまでもない。
「……思ってたんですね」
陣内の眼鏡全体がキラリと光を反射した。
「だから、思ってな」
「まぁ、どっちでもいいですけど
これ、4つともLEDにしたらどうですか?
どのみち、こっちももう寿命きそうですよ?」
甚だしくムカつく!
マジでムカつく!!
「このLEDライトなら量販店でもドンキでも売ってますから」
スマホを取り出した陣内は天井に向かってパシャリと音を鳴らした。
「じゃ、明日お渡しします」
もうコイツのペースにはついていけない。
無駄なく、スマート過ぎる。
脱力気味の私の前を通り過ぎて玄関で靴を履く陣内。
来てもらって申し訳ないと思う気持ちが私にあったのは奇跡だけど仕方がないから見送りに立ったそこで一応、頭を下げた。
「ありがとーございましたー」
やる気のない御礼だけどこれまた致し方ない。
「有馬さん、いい大人なんですから部屋くらい
掃除してくださいよ。
あ、掃除機も買ってきましょうか?」
「あるわよ!掃除機ぐらい!!」
コイツは、私の神経も逆鱗も逆撫でするプロか!
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