カルテ1ー2

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どんなに夜遅くに帰っても、朝は7時までにはまた病院へ入る。 これもボスとの契約のひとつだから文句は言えない。 「おはようございます、有馬先生」 「おはよー」 小さな欠伸を噛みながら、パリッとしたスクラブの心地よさを肌で感じる朝は、いつもとなにも変わらない。 首から提げたIDを左ポケットで留めて 病床を回る。 気になっているのはやっぱり昨日の開放骨折の千葉くん。 血液検査では炎症があるものの、それほど高い数値ではないことに安心した。 外に飛び出た骨が、感染する確率は物凄く高くて しかも、一度感染するとドえらいことになるからだ。 「ほんと、君はラッキーだったよ?」 眠る、青年の頭を撫でながらチェックをして 次へ移る。 ラウンドを終えて医局へ戻ると、ソファで陣内が眠っていた。 側のテーブルにはグレープフルーツの残骸が2個。 そんなに好きなのか。 好きだって言ってたもんね。 寝顔は無垢なもんだ。 どの口があんな人をバカにするような事を言ったんだ、と疑いたくなるくらいの安らかな寝顔だった。 ムカつくヤツだけど、起こすことはしない。 ここに勤務してる医師のほとんどは本当に休みがないからだ。 中でも陣内と私は見るも無惨なくらいだ。 救急車が来なくても、患者が駆け込んでこなくても仕事はたくさんある。 パソコンでオーダーを書き込んでいたら机の上にビニールが置かれた気配。 ガサリ、と袋が擦れる音が耳障りだ。
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