カルテ3

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「輸血パック揃ってます」 「オッケィ」 「あ、三原ひょっとしたらドバッといくかも」 「望絵先生、任せて」 三原は麻酔のエースだ。麻酔医って地味ーな感じだけど、オペの間じゅう麻酔医たちが患者の全身状態を管理してくれている。 実は救命のスペシャリスト。 「射創はみんな初めてかな」 シン、とするのも仕方がない。 日本の病院ではホントに扱う事が滅多に無いんだ。 絶対ないとは言いきれないが、この辺はオフレコ。 「始めます」 女子の身体に風穴開けるなんてどこのヤツだ。 「あ、額の傷も出来るだけ残らないように縫うから安心して」 「望絵先生……」 麻酔で眠ってしまった患者に話しかけるのは 私の癖みたいなもんだ。 いつもは茶化す三原も今日は何も言わなかった。 太腿の筋肉は大きくて日常で使われる率も高い。 若いから弾力もある。 そのお陰か…… 「思ったより組織の破壊が少ない」 「動脈掠ってますね」 「有馬先生、はっやい!」 「血圧、下がってます!」 「三原任せた」 「了解」 ってゆーか、陣内、あんたさ 射創、やった事あんの?? 止血と血管吻合を同時に埋める私の邪魔になるどころか損傷した部分が邪魔にならないようにアプローチをかけてくる。 「陣内」 「なんですか」 「あんたやった事あんの?」 「……無いって言いましたっけ」 何故だ…… こいつ、な、何者……。
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