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は?
今、なんて?
「痛い目見るぞ
場数ふんでないヤツが見よう見まねでやっていーことじゃないんだよ、医療行為は」
このとき、私の頭の中に
ババーンとスポットライトまで当たって放映されたのは
今までの数々の修羅場。
このエリートウザいオッサンに何が分かるんだ。
今まで、私がどんな事をしてきたか
どんな事をし尽くしてきたか
なんにも知らない癖に、よくそんな事が言えるよね。
いやいや、言っちゃダメだよね、私も。
「……以後気をつけまーす」
オッサンなんかより場数踏んでる症例だってあるんだよ。
と、沢山思ったけど
死んでも言わない。
「以後気をつけまーす、ってお前全然気を付けた試しないだろ」
頭にキタ。
ダメだよ、ダメ。
「……じゃあ、病院に来て、その日のうちに処置できてしまう所を、また明日にして、余計な管理加算を出すんですか。
ああ、都内は15歳までならタダだからですか。
痛みはそのまま放置して帰すんですか。
その日にできることをやりもしないでハイさようなら、なんて
病院として機能してないですよね」
香川に向かって、初めての口答えだった。
「お前……今まで何やってきたんだ」
香川がニヤリと、笑った。
「どこで、何をやってきた」
「研修で回ったところで、目から吸収しました」
はははは、と笑い飛ばしてバン、と机を叩いた香川。
「いい加減にしろよ、有馬」
熱くてウザい香川、マジで何とかしてほしい。
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