カルテ4

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「ブレイドさん、私、一人で帰れますから」 やんわりと断っても必ず同じことを言う、 「有馬先生をお一人で帰したら私が叱られます」 ほんとに。 屈強なデカイ図体をしているのに、それに相反するような困り顔。 柔らかな物腰と、滑らかな口調。 だけどその名は"ブレイド"って。 なに? 映画の世界でしょ。 マジで。 本名は知らない。 私がこの人と出会った時はすでにブレイドさん、だった。 「お疲れの様子ですね、湯を張っておくように言い付けておきましたので、ゆっくりお休みください」 私の指定席は後部座席の右側。 ドアはロックされていて、自分では窓すらも開けることは出来ない。 要は、車も自分で乗り降りできない、ということだ。 囚われの身? チガウチガウ、そーんな良いもんじゃない。 じゃあ、なに? そうね、強いて言えば。 スレイブ。 よくある階級でしょ。 私は使い捨ての、スレイブだ。 自分の力量を遥かに上回る奇跡を出し続けなければ この世から 消されてしまう。
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