カルテ3ー2

3/17
1024人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
オペ室外で、センター長と私服のお上らしき集団が待ちわびた様子で私を迎えてくれた。 「有馬先生、どうですか」 センター長はボスに医師の派遣を頼んだこの救命センターの偉いさんだ。 「ご無事ですよ」 「ああ、こちら●×警察署の方」 「存じてます、摘出したモノも、オペの経緯も全てまとめるようにしてありますので、どーぞご自由に」 あー、めんどくさ。 私はわざと呟いてその集団の前を通りすぎた。 「あ、有馬先生、この件は」 「他言無用なんでしょ? 大丈夫です、ライフルマークの事は言いませんから」 権力は嫌いだ。 例えばこうして内密にしたい事があれば 力を貸した方に謝罪も礼儀も何も通さない。 お上の目が私に注がれているのも、きっとライフルマークなんて事を口走ったからだ。 別に睨まれても怖くもなんともない。 噛みついてやろうか、と反撃してやりたいくらいだ。 だけど、そんな事はさせてはくれない。 「有馬!その辺にしとけ」 なんで、ここにいるんだ、と思った。 振り向かなくても分かる。 私を制したこの声の持ち主は、ボスだ。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!