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オペ室外で、センター長と私服のお上らしき集団が待ちわびた様子で私を迎えてくれた。
「有馬先生、どうですか」
センター長はボスに医師の派遣を頼んだこの救命センターの偉いさんだ。
「ご無事ですよ」
「ああ、こちら●×警察署の方」
「存じてます、摘出したモノも、オペの経緯も全てまとめるようにしてありますので、どーぞご自由に」
あー、めんどくさ。
私はわざと呟いてその集団の前を通りすぎた。
「あ、有馬先生、この件は」
「他言無用なんでしょ?
大丈夫です、ライフルマークの事は言いませんから」
権力は嫌いだ。
例えばこうして内密にしたい事があれば
力を貸した方に謝罪も礼儀も何も通さない。
お上の目が私に注がれているのも、きっとライフルマークなんて事を口走ったからだ。
別に睨まれても怖くもなんともない。
噛みついてやろうか、と反撃してやりたいくらいだ。
だけど、そんな事はさせてはくれない。
「有馬!その辺にしとけ」
なんで、ここにいるんだ、と思った。
振り向かなくても分かる。
私を制したこの声の持ち主は、ボスだ。
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