カルテ3ー2

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ワザワザ来ることなんてないじゃん。 たかだか従業員一人の貧血に。 だいたいどの面下げて私の前に現れてんだっつーの。 勝手にも程があるんですが。 あー、ボスお得意のアレか。 別に強制はしてないけどノラクラでこっちに進めようパターン。 ああ、なるほど。 私が 余計な事を口走るのだって全部白石の所為だ。 「白石社長には会いに行きませんよ」 何気なく言い捨てた。 「もうその必要はないよ」 ボスの口調は何処と無く冷めていて さっきまでの怒ってるのとは違う。 ……その必要はない、って事はやっとくたばったか。 「もう、殆んど分からない。 いつどうなってもおかしくない状態だ」 まだ、生きてんのか。 頭と"心"がぐっちゃぐちゃになった気がした。 肉、喰わなきゃ。 ちからがでなくてふらふらする。 医局に辿り着いて、記録に残らないオペに体力を使いきった事を後悔する。 ソファに座るとグッタリだ。 いやこれは、ボスが来た所為だ。 「有馬さん」 「なによ」 「お疲れ様でした」 「おつかれ」 目を瞑ってるから分かんないけど たぶん私の右横に陣内が座った気がする。 ソファが沈んだと思うから。
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