カルテ4ー2

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流れるような捌きだ。 先生みたいにデキるようになりたい、と何度も思った。 「大動脈切開、チューブ挿入、灌流(カンリュウ)用チューブと連結します」 「有馬、絹で縛っとけ」 「はい」 臓器は鮮度も大事な上に 丁寧に扱わなければならないのは勿論だ。 もう昔の事だけど、私の捌きが悪くて使い物にならなくしてしまった事がある。 「……さっきからなんだ」 「へ」 「にやけてるだろ」 マスクをしているから分からない筈。 と、思うのは大間違いだ。 先生は目を見て判断する。 「いえ、ただの思い出し笑いです すみません」 「ほら、上行(ジョウコウ)クランプするぞ」 「あ、はい、こっちも横隔膜下大動脈クランプ。 ……灌流開始します、チューブ開放」 私のこの豊富な知識は先生のおかげだ。 そして、全ては白石の…… そこまで考えて、追い払う。 その先は決して"有り難い"だけで済まされる事じゃないからだ。 「色はどうだ」 「問題ありません」 「ん」 「クラッシュアイスください」 白石ファミリーの一人が傍に置いてくれたものを腹腔に詰め込む。 ……ふと、考えた。 私は、ここを追い出されて、どこへ行けばいいんだろう……。

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