カルテ4ー3

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どこの階なのか、何番めの部屋なのか全く分からない。 とにかく手を引かれたままそこに入れられて 真っ暗の中、また、香川はおかしな事をする。 「ん、っ」 いつものキスと違ったのは 時間と侵食の具合だ。 いつもなら、せいぜい2、3秒。 だけど今は確実に息をとめていられないくらいの長さで いつもなら、唇に擦れるくらいのタッチ ……は、通り越して唾液同士の交じる気配が否めないくらいに深い。 しかも、宛がわれたそこから何となく恐ろしい気配を感じる。 「……っ」 なにを、してるんだ、わたしは…… 頭の中が香川の口の中の熱さにパニックを起こしていた。 アルコールで痺れているのか 未経験のこれに痺れているのか 熱くて、苦しくて、膝から力が抜ける。 へたり、と座り込んだそこは絨毯の上らしい。 両腕だけをそれぞれに捕られていてまるで繋がれた奴隷のようだ。
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