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蔓延った熱が皮膚から蒸発するくらい浮かされているのは、完っ璧に主導権を握った陳内の所為だ。
なんだ、コイツ
なんだ、この男
普段は1分と経たないうちに侵入して
こっちの経過なんてお構い無しで
10分と経たないうちに射精する癖に
「じ、んなぃっ」
声はガラガラ。
「有馬さん、こんなに感度イイなんて
感動的な反則ですよ……」
何分、何時間?
早く
早く
ハイってきて……
唾液も飲み込めないくらい喉が貼り付いて
イイ様に振り回されて
「どうしたんですか……有馬さん。
そんな顔して……」
癪に障る、その涼しげな微笑いが
ムカつく。
……ムカつくどころかそれを見て疼く身体が
ムカつく。
「……もう疲れた、寝る」
「そうですか、分かりました」
ナカで蠢いていた指も這いずり回っていた舌も
惜しげもなく引いていく。
なんだ、コイツ、マジでムカつく。
陣内に背中を向けて、丸くなって
燃える身体を鎮める為に深く深く息を吐き出した。
途端
腰を引かれて挿し込まれ俯せに敷かれる。
貫かれたショックは夥しい程に波紋しながら
最終的に脳ミソを強請(ユス)って
幸せホルモンよりも更に濃いイケイケ麻薬を出させた。
「……なんて、あっさり終わると思いました?」
「ん、るさぃ」
力が抜けていく下とは逆に
上ではシーツを掴み、歯を噛み抗いを立てる。
「ナカ、震えてますけど……有馬さん」
「うる、さ、ぃっ」
流れに無駄がないのは
陣内が女に慣れている証拠だ。
「あんた、何者よ……」
質問なんかには、一切答えない。
「有馬さん、後は好きにしますから
休んでてください」
膝を立てた陣内に腰を掬い上げられながら聞いたセリフ、これが今日最後の敬語だった。
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