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「先に行きますよ、有馬さん」
陣内はサラリと出ていった。
濃厚で、後を引くようなキスを絡めてからだけど。
「アイツ、完全に調子に乗ってやがる……」
見送った背中に届かないのをいいことに
ここぞとばかりに文句を吐き出す。
「なに、しかも
あんたの売りはファストセックスだったんじゃないわけ??」
ズリ下げ→突っこみ→スピードアップ→終了
みたいな流れで、忙しいモノ同士
新しいセックススタイルだったんじゃないのか!
「なのに、なに!
私に地球を何周させるつもりだ、バカ者!」
バン、と玄関のすぐ脇の壁を叩いて反抗してみる。
いや、本人はもう居ないんですが……
これじゃあ、さ。
これじゃあ、益々陳内の思う壺、ツボ、つぼの底じゃないの。
底には白いのがタプタプ入ってて
やだ、イカ臭いし!
やば、やめてぇっ!
「……なんて下品な作品なんだ、……」
あぁ、と溜め息を吐き出して部屋の中へ引き返す。
陣内はとうとう私に巣食いやがった。
まぁ、妻子持ちじゃなかったぶん、ちょっと気も晴れたってゆうか
良かったって、思っちまった自分が嫌だアァアァア!!!
「もう嫌だ……」
寝室はいまだに生々しく残る
シーツの皺
湿っぽい感じと
陣内の匂い。
「こりゃ、完全にパブロフだな」
すんすん、とベッドに顔を埋めて
ほっぺたが赤くなるのを、自分の事なのに他人事のように思いながら、変態行為に耽る自分に酔いしれた。
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