カルテ5ー2

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「先に行きますよ、有馬さん」 陣内はサラリと出ていった。 濃厚で、後を引くようなキスを絡めてからだけど。 「アイツ、完全に調子に乗ってやがる……」 見送った背中に届かないのをいいことに ここぞとばかりに文句を吐き出す。 「なに、しかも あんたの売りはファストセックスだったんじゃないわけ??」 ズリ下げ→突っこみ→スピードアップ→終了 みたいな流れで、忙しいモノ同士 新しいセックススタイルだったんじゃないのか! 「なのに、なに! 私に地球を何周させるつもりだ、バカ者!」 バン、と玄関のすぐ脇の壁を叩いて反抗してみる。 いや、本人はもう居ないんですが…… これじゃあ、さ。 これじゃあ、益々陳内の思う壺、ツボ、つぼの底じゃないの。 底には白いのがタプタプ入ってて やだ、イカ臭いし! やば、やめてぇっ! 「……なんて下品な作品なんだ、……」 あぁ、と溜め息を吐き出して部屋の中へ引き返す。 陣内はとうとう私に巣食いやがった。 まぁ、妻子持ちじゃなかったぶん、ちょっと気も晴れたってゆうか 良かったって、思っちまった自分が嫌だアァアァア!!! 「もう嫌だ……」 寝室はいまだに生々しく残る シーツの皺 湿っぽい感じと 陣内の匂い。 「こりゃ、完全にパブロフだな」 すんすん、とベッドに顔を埋めて ほっぺたが赤くなるのを、自分の事なのに他人事のように思いながら、変態行為に耽る自分に酔いしれた。
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