カルテ5ー2

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ヤバーィ。 風呂場なんてもっとヤバーィ。 『ピ』 パネルのスイッチが入った音がした。 私のトリップスイッチではないのが残念だ。 いやいや、そうじゃないでしょ。 「あの、じんな」 「有馬さん早くして」 もうヤツは既にスリガラスの向こう側でシャワーにまみれている。 エロい。 ハッキリと映らないその画がエロすぎる。 「な、な、はや過ぎ……」 「有馬さん」 どうしてそんなに急かすんだ。 いや、しかも待ってよ。 お尻くらいはいつも見せてたけど 裸になんて、なれないし。 でもここで入らないと、もう何されるか分からないじゃない。 くそぅ、陳内めぇ…… ガチャ、とスリガラスが開いて 湯気と共に陣内が顔をだした。 「手伝いましょうか?」 鏡越しに向けられた顔に 激しくドキドキと飛び出す心臓が胸から上を占領していて、声が出ない。 フルフル、と首を振って 根性を決める前に、陣内の眼鏡のない目の光にキメられて急いで服を脱いだ、いや、脱がされたも同然だっ。 あまりの緊張で 大問題に気づかないままスリガラスの扉に手をかけた瞬間 そこが開いて私は獣の潜むほぼ密室に 引き摺り込まれた。
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