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皮膚が密着する。
勿論だけど、こんな風に抱き合うのは初めてだ。
温もりが直に伝わるとやけに安心してしまうのは
人肌マジック。
いつも、あんな薄いスクラブだけなのに
直で触れると感触も違う。
男の身体だ。
ちゃんとひとつひとつの筋肉の隆起が分かるくらいに、ガッチリした身体。
盛り上がった僧帽筋。
この奥には大小菱形(リョウケイ)筋がきっと過不足なくくっ付いている筈。
よく動きそうな肩甲骨。
肩甲骨を動かす、って実は簡単なようで難しい。
広くて大きな広背筋。
背中が左右別れている窪みがハッキリと分かるくらいに発達していて
どうしても確かめずにはいられなくて
「陣内、あんた、何者?」
シャワーの弾ける音に掻き消されそうなくらいの小さすぎる音を吐いていた。
「エロいカラダですね、有馬さん
普段は色気のないタンクトップにしょーもないボクサーパンツ。
剥いてみればこーんな女らしいなんて
嬉しい反則ですよ」
湯気と飛沫で汗のように流れてくる水滴が
身体の大部分に纏いついた頃
顔を上げて、身体を離した陣内が私を見下ろして
それはそれは妖しく、笑った。
「で、オマケまで付けて……
これは、余計だったなぁ?」
首を傾げて
目を細め
少しだけ遠巻きに見るようにしてまた笑う。
あ。
と、気付いた時には、自分のバカさ加減に呆れても
もう、遅い。
陣内は、男だ。
ふ、と緩みが無くなったその後
陣内の右手が顎に伸びてきて、下顎をスッポリと掴み取られた。
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