カルテ6

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もっともっと体内の温度が上がる。 左腕は背中で捻られて 右腕はピンクのタイルに押さえ付けられ グイグイと後ろから圧されて鳴る音がそれぞれのタイルに跳ね返る。 これじゃあ、"ここでヤってます"って言ってるようなもんだ。 「っぁ」 鬼のように突き狂う陣内。 「ちょ、待ってよ、じん、」 「待たない」 「陣内、へ、へんっ」 「……有馬さん、一緒に暮らしませんか」 「っ、へ、へぇ?」 や、ま、まって。 「じんなっい!」 「静かにして、有馬さん」 あし、足つかない、足つかない 「辛い、ん、あし、」 静かにって この音っ、音、無理! 無理だからねっ! あんたが一番静かにしなさいよっ この、バカ者! 「荷物、持ってきます」 「は、はぁ?ちょ、あっ、あっ」 あんたが転がり込むのか! おぃぃっ! いや、待ってよ あそこはダメ、だめっ、そこも、だめっ! いやいや、あそこは、じゅ、呪縛が 「だ。ダメ だめだからねっ!」 「どうしてっ」 「どうして、って どーして、どーしてもだめっ」 振り向いたところを奪われる。 なんて。辛い体勢なんだ。 なんて、アクロバティックな体位なんだ。 「ん、ンゥぅ」 苦しい、陣内、苦しい、っ。 「有馬さん、ダすよ」 陣内の声が響いた。 これ、人がいたらバレ、バレ。
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