カルテ6

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……一緒に住む必要なんてないじゃん。 病院で毎日顔付き合わせて 個室で下の顔も付き合わせて 家に帰るよりよっぽど一緒にいる確率高いし。 病院を出たのは夜の10時だった。 ほら、いた。 なんでこんなタイミングまで分かってんのよ、って いつも思う。 今朝、連絡が来てそれから返信はしてなかった。 いや、できなかったよね。 忙しくて。 ……と、いうことにしておくか。 見慣れすぎた車。 窓が開いて顔を出したのは、ボスだ。 「望絵」 いつもと変わらないその声に 自分だけがちょっと変わってしまった感が ザックリと浮き彫りになる。 ボスに対していつも思っていた "近付いちゃいけない" "本気になっちゃいけない" "嵌まっちゃいけない" 3大いけない、が復活しそうだ。 「お疲れ様です」 「乗って」 「え」 乗らない、という選択肢はなかった。 だってボスは雇い主だ。 "話がある"と連絡をされていて、無視る訳にはいかない。 いったい何の話だ。 ひょっとしたら首をキラレルのかもしれないし。 助手席の扉を開けると ボスの匂いがフワリと鼻につく。 「何でいつも待ち伏せしてんですか、ボス」 バタンと扉を閉めると、カチャリとロックの音。 まぁ、いつもの事だ。 「ベルト」 「……あー」 めんどくさ、ベルト。 シートベルトがこの上なく嫌い。 仕方なく右肩から引っ張って対角に閉める。 下腹を窮屈に押されるのが嫌だった。 「で、何ですか話って」 「夕べブレイドから連絡があって お前に渡してくれって、頼まれた」 車をゆっくり滑らせたボスが 何やら見た事のある紫の包みを私に差し出す。
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