カルテ5ー2

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今日の陣内はなんとなく強烈で 「時間あるときはゆっくりスルから」 「は?」 男の癖に妙ちくりんな色気というか艶を振り翳して 迫ってくる。 あの あの 「有馬さん、顔赤いけど、逆上せた?」 「へっ」 私を下ろしてくだ 「40の癖に可愛いとか、これも嬉しい反則ですね?」 「ちょ、わたしまださんじ」 陣内の睫毛はけっこう長かった。 いつもは眼鏡もあって しかも髪だってしっかり上げられてて オマケにクソクソ真面目チックな雰囲気で だから気付かなかったけど 顔面を構成するパーツがエロい。 そのうちの一つ、婀娜艶(アダツヤ)プリプリの唇が 繰り出す口吸い攻撃は 「……ン」 呼吸のリズムを奪い 身体の中の酸素が不飽和状態になり 頭の中がぼやけて 胸が苦しくなる。 "ずっと、好きでした" 分かる訳ないじゃん。 そんな態度も素振りも見せなかったでしょ? "初めて会った時から" イイ年こいてそんな出会いなんてないし、普通。 「有馬さん」 「……なに」 「ちゃんと、抱かせて」 「え?」 私をソロリと下ろして、そこに立たせてから シャワーをキュと絞ると手を引いて風呂場を出た。
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