カルテ5ー2

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ベッドに座った男は女をその前に立たせて吟味する。 「……歯形か……」 「ひゃ」 つい、とトリップスイッチを撫でて その周りの輪っかにくっきり残る人の牙の痕を指先で辿った。 「やってくれるなぁ、香川先生」 アハハ、と見事に乾いた笑いを吐き出し 私を見上げるその眼差しに緩みはない。 「まぁ、噛み付きたくなる気持ちも分かりますけど ねぇ、有馬さん?」 い、いえ、分かりません。 これじゃあいつもと立場が逆転で しかも真っ裸で立たされるなんて どうなんだ。 「40にしては」 「38」 クッと笑った陣内の悪戯な顔が、私の雌の部分をギャップ萌え萌えさせるじゃないか。 この、クソ陳内めぇ。 「38にしては綺麗な身体ですね、有馬さん」 な ななな なんとかして。 この辱しめに耐えられない。 「あ、陣内、恥ずかしいんですが……」 「いいですねぇ、恥ずかしがる有馬さん」 いやいやいや、もうほんとになんとかしてください。 「もう、暫く見せてくださいよ」 「は?」 「ずっとひん剥いてやりたかった」 血が吹き出しそうなくらい 顔の温度が上がった。 ひょっとしたら、ほんとに吹き出してたかもしれない。 鼻血が。 それくらいテンションがアゲアゲで 倒れてしまいそうだ。
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