カルテ6ー2

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「ほら、ちゃんと飲んでくださいよ?」 これは……高度なスキルだ。 以前の記憶を元に、ひょっとしたらまたこの後 あーんな事をされるんじゃないだろうか こーんな風になるんじゃないだろう と、擦り込みと反射をうまく融合させた 荒手のパブロフ。 "有馬さん、力抜いて" とか "有馬さん、濡れすぎ" とか そんなワードまでもが簡単にポンポンと浮かんできやがる。 お、恐るべし、陳内よ。 「なに考えてるんですか? ビタミン補給しとかないと、肌、ボロボロですよ」 「は?」 「酒ばっか飲んでるから」 「はぁ?!」 「もうよんじゅ」 「38だ!クソバカ者!」 ふっ、と鼻で笑われた。 く、くっそぅ! くっそ、ムカつく! くそみそムカつく! そのピョーピョーとした眼鏡の奥がたまらんムカつく! ジュースをひっ掴み、本体からストローを剥がして 尖った先をぶち込んだ。 つぷ、と膜が破れて薄い黄色の液体が筒を通って少しだけ上がってくる。 ……なんか、なに! なんか、エっロく感じるのは気のせいか! きぃぃ! くっそー、陣内ノヤロー! 掴んで、剥がして、ぶち込む、なんて まるで陣内と私…… いや、だから、違う! ちがーーーーう!! 天に向かって叫びにならない叫びをあげると 「おもしれ」 陣内のクソ小バカにした笑い声が聞こえた。
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