カルテ6ー2

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もう夏だなぁ。 そんな風に思ったのは曇り空から覗く太陽の所為だ。 ガッツリ雲ではなかった。 空梅雨とまではいかないが梅雨入りが発表された6月はなんとなくグズつくものの 雨が少ないように思えた。 「朝陽……眩しい……」 黄色人種の筈の日本人は虹彩が黒いから 眩しさには強い筈なんだ。 なのに、こんなに眩しいなんて…… どんだけオゾンが破壊されてんだ、地球よ……。 しかも眠いよぉ。 何日ぶりかにシャバに出て 足取りも重くて、フラフラしながら地下鉄まで向かう、その途中で、まさかの出来事。 「おい、闇医者」 「ひ!ぃ?!」 ヌラリと現れたのは無駄に顔だけがいいバカ男。 ちょっと見上げると朝陽がバックから差し込み 危うく見てくれだけに騙されそうになる。 「……あんたさ、ほんと見た目はパーフェクトだわ。 しかもwith朝陽とか、なに? ナルシスト?」 あー、あぶない、あぶない、思わず 目がさらに眩みそうになった。 頭をブンブン振りながら代表の隣を通り抜けた。 決まって聞こえるバカ男のバカ笑い。 「朝からうるさいっつーの」 しかもそんなバカ笑いしてたらあんた身体に風穴開くわよ。 白石の代表なんだろー? 残念な笑い声が着いてくる。 なに、今度はストーキング? しかも、こんなとこでまとわりつかれても酷い迷惑なんですが。 「おい、まてコラ」 バカ笑いがピタリと止んで しかも、右肩がグイ、と、下がった。 バカ男に掴まれたからだ。
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