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急激に嫌悪感が湧く。
振り向いたと同時に掴まれた手を払っていた。
「触るな」
何故だろうか。
白石、……白石の息子にまで同じような事をしてしまうなんて。
白石はよく私に善からぬ文句を投げてきた。
後ろから抱きつかれたりした日にゃ、鳥肌を通り越したガタガタの山道ばりに皮膚が盛り上がりと盛り下がりを繰り返したもんだ。
「……お前は胆も座ってるのか、ますます気に入った」
「は?あんた何様?ガキの癖にお姉さんに
そんな口きくんじゃないわよ、サル」
「サル!」
パッチリ目を見開いてからそこが緩んでいく。
皺のない目尻、単純に羨ましいと思った。
「あんた、いくつよ」
「28」
「は?に、にじゅうはち!」
だよね、だよね。
小さくて、細っこかった身体を思い出した。
私と10も違うのか、こいつ。
ガックリ、分からないけどガックリと肩を落として
「じゃあね」
と、言いつつ代表に背を向けると
「人をコケにしたまま去るのが得意だなお前は」
「は?疲れてんのよ、帰るのよ、うるさいわよ」
「まあ、待て
今日は休みなんだろ」
「は?」
「付き合え」
「は?意味分かんない事言わないでよ!」
ガシ、と掴まれた手首にまた立ち上がる凸凹。
「ちょっと!触んないでよっ!キモい!!」
ブンブンと上下に揺すり手を払ってみるものの
まったく解けない。
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