カルテ6ー2

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ズルズルと引き摺られて、車に押し込められた。 朝早くとはいえ、みなさーんこれは 事件ですよー! こんなことされて、ちょっとそこのおっさん! 見てないで助けろや! おい! 「なにすんのよっ!!」 「うるさいなぁ、闇医者!」 アハハハと笑いながら私の横にドカッと腰を下ろすバカ男は 「腹減ってるだろ」 「は?」 「何が食いたいんだ」 「はぁ?」 「なんでも食わせてやる、言ってみろ」 「寝かせろってゆってんの! 家に帰りたいんですけども!!」 無駄に面だけが良すぎて、こいつ、ムカつく。 ムカつく面構えで笑ってる筈なのに 整いすぎてて甚だしすぎる! 「用がすんだら直ぐに帰してやるよ」 「はあ?今すぐ帰してよ!」 なにこいつ! なんなのこいつ! ほんとにロクな男がいない! どういう事! 私、なんかした?? あぁ、たくさんしたよ! したけどさ、したけどもさ! バックミラーで目が合った人物にも驚きだ。 「ブ、ブレイドさん!」 「おはようございます、有馬先生」 「ちょっと!どーゆー事な訳よ!」 「申し訳ありません」 「いや、待てこら、ブレイド!」 「ワハハハハハ」 「うるさいわよ!このサルっ!」 「サ、サル!」 「ワハハハハハハ、お前は笑うなブレイド」 きっと端から見た車は揺れに揺れていた筈。 それは私が身を乗り出してブレイドさんに噛み付いていたからだ。
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