カルテ6ー2

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ブッスーとしてた筈なのに 筈なのに はじゅなにょに…… は、じゅるっと啜ったのは間違いなく ヨーダーレー。 なんだそれ なんだそれぇ。 何故私が肉好きだと知ってるんだ。 で、何故私には食べさせてくれないんだ。 遠い目をして、代表ザルの食べる様を見せ付けられているのはとあるホテルの中2階フレンチレストラン。 朝もはよから営業で しかもなに、朝メニューに無いものをオーダーしてさ で、どういう訳でワインとか飲んでんだぁっ! 「有馬先生……」 「ん、ぐっ。にゃんですか」 「涎が……」 ブレイドさんが溜まりにたまりまくった唾液を飲み込んだ私に不憫な目を向ける。 そんなブレイドさんもちゃんと美味しそうなオムレツを食べているんだ。 「クソザル……」 夜はシックな雰囲気になるんだろうな、と思われる個室で、代表ザルの笑い声が響いた。 「闇医者、無理しないで食ったらどうだ」 「うるへー、お前なんかの施しは受けぬ」 くっそー、くっそー、くっそーぅ。 気を紛らす為に開いたスマホにラインマークが付いている。 "ひょっとして" なぁんて思ってしまった。 同時に、ウキっ、となる自分にハッとする。 因みに、ウキっ、はサルの鳴き声ではない。 案の定、私を浮わつかせる陣内からのライン。 "どこにいるんですか" それだけだったのに 心がザワザワするのを感じた。
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