カルテ6ー2

23/36
897人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
あぁ、あぁ。 「やっぱ帰る」 涎を拭って立ち上がろうとした時。 「なんだ、男か」 「は?」 「お前んとこの、優秀な後輩だろ?」 クソ代表ザルが、ワイングラスの中身を揺すり始めた。 何故、知ってる。 いや、簡単な話だ。 白石の権力をもってすれば、人、一人の追跡をするのは正に朝飯前。 そしてその対象を、周囲の何事も変えないように "無かったこと"にしてしまうのは昼飯前。 「だったら何なのよ」 「いいや、別に?」 なに、それは。 暗黙のなんとかってやつ? 私を脅そうっていうのか。 何に対しての脅しかは分からない。 分からないけど、もし、陣内に危害が及ぶような事はあってはいけない。 「食ったらすぐに行くから、まぁ、待て」 「……クソザル……」 「何とでも言え」 代表が楽しそうに笑いながらワイングラスを傾けた。 ブレイドさんの肩が、シラシラと上下に揺れるそれにだけは 「笑うなブレイド」 そう、反応して。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!