897人が本棚に入れています
本棚に追加
あぁ、あぁ。
「やっぱ帰る」
涎を拭って立ち上がろうとした時。
「なんだ、男か」
「は?」
「お前んとこの、優秀な後輩だろ?」
クソ代表ザルが、ワイングラスの中身を揺すり始めた。
何故、知ってる。
いや、簡単な話だ。
白石の権力をもってすれば、人、一人の追跡をするのは正に朝飯前。
そしてその対象を、周囲の何事も変えないように
"無かったこと"にしてしまうのは昼飯前。
「だったら何なのよ」
「いいや、別に?」
なに、それは。
暗黙のなんとかってやつ?
私を脅そうっていうのか。
何に対しての脅しかは分からない。
分からないけど、もし、陣内に危害が及ぶような事はあってはいけない。
「食ったらすぐに行くから、まぁ、待て」
「……クソザル……」
「何とでも言え」
代表が楽しそうに笑いながらワイングラスを傾けた。
ブレイドさんの肩が、シラシラと上下に揺れるそれにだけは
「笑うなブレイド」
そう、反応して。
最初のコメントを投稿しよう!