カルテ6ー2

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「陣内、ここ、ヤダ」 容赦なく身体を私に繋げようとしてくる陣内に 首を振って抗う。 「大丈夫」 「は?いや、ここあんたん家でしょうが!」 「そう、だから大丈夫」 「は?意味、わかんないし!」 「有馬さんとこがダメならここに来てください」 「いや、今そんなこと言ってんじゃ、っじ、んないっ!」 「あー、久々だから ……これ、ヤバイ」 同時に、ピ、という微かな電子音がして その直後 外の明るさがだんだんとシャットアウトされていく。 「……ん、やぁ……じんない……」 細くなった視界と同じくらいの薄さにまで絞られた光が、完全に無くなった。 なによ、なに!? あるんなら先に言いなさいよ、ってゆーか 「閉めてから、突っ込んでよ!!」 「アハハハハ、有馬さん、キレ具合も可愛いっ」 オーバースライダーのシャッターが 下界とココを遮断して間もなく 闇に包まれた空間に響くのは明らかに濡れた音。 そして息衝(イキヅ)き、苦しむような二人の乱れた呼吸。 首に噛み付かれ、チクリと刺されたような刺激。 痕、が付くのを嫌がるように首を振った。 「抵抗、するんだな、今日は…… なんで?有馬さん」 陣内に知られている身体は隠す術を何も持っていなくて 抵抗するだけ無駄なんだけど だけど今日はダメなんだ。 『ゴリ』 腹の奥から鳴るそれは 陣内が私を堕とした合図。 いくら無駄に足掻いても 脳ミソは幸せホルモンを撒き散らしたあげく、イケイケ麻薬に浸けられる。
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