カルテ6ー2

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風呂場も綺麗でやんの。 なに、蛇口とかピカッてる感じ。 なに、浴槽キュッキュってる感じ。 なに、この高そうなディスペンサーとか。 「ガラスじゃん。 これ、メイソンジャーだし」 こんなのもあるんだ。 「ってゆーか、これどれに何が入ってんのさ」 呟いた時、浴室に爽やかなメロディーが流れた。 「は?」 振り向くとパネルの"呼出"が点灯中。 「なによ、陣内」 『緑がシャンプー、青がコンディショナーです』 「……あんた覗いてた?」 『いや、そろそろ困ってるかと思って』 「ね、このプラスチックのやつなに?」 『あー、それはまた今度一緒に使いましょう』 「は?」 『ローションです』 「は?」 『今日はガラスボトルのだけつか』 そこで通話を切ってやった。 バッカじゃないの? 何、ローションとか! 一緒に使うとかってなに! 一緒に使って何するっつーの! ……ナニするに決まってるじゃん。 私はダメなヤツだ。 私はロクでもないヤツだ。 考えて下(シモ)が浴槽ばりにキュッキュと鳴りそうだ。 「バカ。 私のバカ! ぎゃー、目にはいったぁ」 シャンプーを急いで流しながら 恥ずかしさも一緒に流してしまう事にした。
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