カルテ6ー2

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「自炊しなきゃならない環境だったんですよ、作らないと食べられないし…… 食べないと生きていけないですからね」 鼻にティッシュをつめた。 だって何となく鼻の奥と喉の上の方がイガイガする。 「有馬さん」 「なによ」 ジュル、と啜った鼻水は何となく甘ったるくて。 「一緒に暮らしません?」 「は?」 「掃除も洗濯も、料理も ちゃんと教えてあげますから」 「は?いやよ! そんなの教えていらないし」 「将来的に困りますよ?」 「困らないわよ!」 「困りますよ… 赤ちゃん出来たらどうするんですか」 は? ゾクリ、と膚が凸凹を刻む。 私が困る? 赤ちゃん? 「汚ない部屋で育てるのは危険だし 洗濯だって一日に何回もしなきゃいけないかもしれないんですよ?」 凸凹は大きくなって皮膚の表面で波うつ。 「なに言ってんの? 訳、分かんない」 「オレ、避妊はしませんよ? しかも、いつ有馬さんのナカに出すか分からないですよ?」 この男は 物凄く危険だと、頭が警鐘を鳴らす。 「なんで、……あんた避妊しないって言い切るの!」 「なんで? 有馬さん、酷いですよね? オレ、貴女の事が好きなんですよ? あわよくば、全部オレのにしたい」 「なっ」 陣内の目が迫ってくる。 「そんな貴女がすぐ近くにいるんです。 どうにかしようとも考えるし どうしてやろうかとも考える。 自分のモノにしたいと思うのは当たり前ですよ?」 何故、好きだからという理由なんだ。 「……何が当たり前なの? ね、陣内、あんたさ何がよくて私が好きだって言うの? 私のなにを知ってるの」 なんにも知らない癖に 知ったらどっかに行く癖に 「何も知らないかも知れませんけど…… 貴女が好きなんです。 これは変わらないし、変えられない」 若い男に言い寄られてイイ気になってるだけだ。 陣内が 可愛くてイイ男で 腕もよくて、頗る働き者だから イイ気になってるだけ。 陣内の真っ直ぐな瞳は いつも私を軽く突き抜ける。
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