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「有馬先生、送ります」
「断る!」
断固許否の姿勢を崩さない。
「それは出来ません、お一人で帰した事が知れますと、私の命に危険が」
「じゃ、思い切って危険に晒されてください」
真面目な顔で命の危険を訴えてもダメだから。
こっちもクソ真面目に拒絶するから!
「誰にしばかれるのか言ってみなさいよ」
別にブレイドさんを困らせるつもりはないんだ。
「陣内先生です」
「あ、心配ない
私がアイツにかかわる事はもうない、じゃあね」
ヒラヒラと手を振った。
もうブレイドさんに会う事もないよ。
それも籠めてヒラヒラと。
パシッと乾いた音がした。
今までになかった事に物凄く違和感プラス不思議。
「ブレイドさん?」
手首を掴む掌が、今までこんな事をしたことのある男の誰よりもデカイだろう事は間違いがない。
「失礼は承知です、有馬先生、どんなに許否られてもお送りします!
自分の命は粗末にしたくないですから!」
「は?」
ぶ、ブレイドさん?
思わず笑ってしまった。
デカイ図体の男が、命の危険をここまで訴えてくるなんてちょっとしたギャップ萌えだ。
だけど、そんな自分の事を全面に押し出す男なんかじゃない、というのも分かってる。
「陣内先生は……有馬先生の事が心配で心配で堪らないんです」
車に乗った途端に、いきなり本題かよ、と突っ込んでしまうくらいの展開の速さだった。
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