カルテ6ー3

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「ブレイドさん!起きてる!?聞こえる??」 顔面蒼白。 「もうすぐ着くから!」 チラリと見て 苦しそうに短い息を吐くブレイドさんに声をかけ続けた。 スーパーと、向いのビルの距離は10メートルくらいか。 ブレイドさんの身体の中で留まっているだろう弾。 私に突き抜けて来なかったんだから、そんなに大きな口径のものではない筈。 音は聞こえなかった。 サプレッサー(滅音器)を付けていたから勿論、周りには気付かれていないだろう。 左肩と、右背部に穴がひとつずつあった。 どこまで進んだんだろうか。 中の、何処で留まってるんだ……。 結構な猛スピードで走ってきて お上に見付からなくて良かった。 なんせ、私は無免許だ。 教習所には通ってた事がある。 なに?仮免まで取ったんだから。 ……その後はブレイドさんがたまに運転をさせてくれた事を思い出した。 「ね、ブレイドさん結構運転うまいでしょ、わたし、ほら、着いた!! 大丈夫、絶対助けるから」 救急入り口ではスタッフが待機してくれていた。 「助手席!開けてっ」 「わかっ、うっ、わぁ! なに!なに!その格好!」 主任が驚きのあまり悲鳴をあげる。 「いいからっ?いいから、早く!!」 「オペ室運んで! すぐレントゲン! 後、輸血!」 「O+、用意できてます」 絶対死なせないから! ブレイドさんが座っていたシートは血まみれだ。 成人男性の血液量は約6リットルだと言われている。 皮のシートはそれこそ血溜りになっていて 背中がザワザワと騒いだ。 ……血が無くなって逝くのなんて勘弁してほしい。 「耐えてよ、ブレイドさん」 やけに明るい夜空に高く昇った月は、真ん丸に近かった。 神秘的なそこに願わずにはいられない。 どうか、どうか持ちこたえてほしい、と。
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