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シャツのボタンが二つくらい外されていて
スラックスは履いているものの、裸足。
なんか、エロッぽい、あ、いやいや、色っぽいその出で立ちにパッと目を背けた。
こないだ、指を突っ込まれたことを思い出して
徐に冷蔵庫へと向かい、ビールを取り出す。
トップを開けて、ゴクゴクと流し込んだ冷たいホロ苦い液体。
渇いた喉にめちゃめちゃ旨い&傷にしみた。
「ボス、なんでいるんですか」
「随分な言われようだな」
気を遣わせたことは分かっていた。
だけどなんだか気恥ずかしい。
ボスは私のことは何でも知ってて、分かってるのに。
今さらだ。
「飯、食うか」
「え」
「腹、減ってるか?」
そう言われて、鼻についた匂いに胃がキュウ、と縮んだ。
「カレー……」
ボスにご飯まで作らせたらしい。
私、ひょっとして誰かの世話にならないとダメ女(ジョ)?
ボスのご飯は何度か食べた事があった。
スタイルはオペと同じくダイナミックな男料理だ。
「野菜を食え、野菜を」
小姑のようにイチイチうるさいボスに感謝したのは言うまでもない。
私の事を考えてくれての滞在だと思ったからだ。
カレーを食べ終えるともういい時間になっていた。
朱色だった外は今度は深い群青。
夜の到来だ。
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