カルテ7ー2

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ズカズカとテーブルまで歩いて、そのカップをなぎ倒す。 「がっシャン」 耳に痛い音と共に破片がそこらじゅうに散らばった。 …………なんて、そんな事が手っ取り早く出来れば イライラすることもないんだろうか。 チョン、と鎮座するカップ&ソーサーを見て 出来もしないようなことを頭の中でやってみた。 陣内、彼女はだぁれ? 素直に聞きなさい、と言うかもしれないけど そんな事が出来るなら、有馬望絵の人生はもっと別の方向へ転がっていたかもしれない。 「座ってて、有馬さん」 トン、と押されたのはソファの方だった。 陣内は別に何を隠すふうでもなく、そのカップをさげ、布巾でテーブルを拭く。 カチャカチャと洗い物の音がする。 「陣内、ビール」 「ああ、冷蔵庫にありますよ」 「自分で取る」 ワザワザ陣内の側へ行くためにビールを飲む私って なんて健気なんだろうか。 ブレイドさんがそう言ってたのを思い出してムカついた。 相変わらずシンクも、そのカウンターも 冷蔵庫の中も綺麗だった。 「有馬さん、なんか食べます?」 「え?」 「だって、こんな時間にアルコールだけなんて もう気を付けないとよんじ」 「38、まだ、38よ」 バタンと乱暴に閉めた冷蔵庫が、バルン、と揺れた。
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