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“待ってて”と言われて
「いつまで待てばいいんだ……」
ボソリと呟いた筈なのに
「何を待つんですか、望絵先生?」
三原にガッツリ拾われて
「何でもないわよ」
「ふぅん、あやしいー」
モニターのチェックをしながら薄い目をこっちに向け、唇を尖らせた。
「ね、望絵先生、あのこないだの撃たれた人、どんな関係なの?
チョー噂になってますよ?」
「はぁ?!」
あんたも、今本と同じことを言うんだな!
「ブレイドさんはただの知り合いよ」
「へー、……何でブレイドさんって呼んでるんですか?」
「へ?」
また、ナースがうまく突っ込むこと。
「あー、あぁ、そうね、あーっと……」
そうだった。
ブレイドさんの名前はブレイドさんじゃなかったんだった。
「オペ室入ります!」
こうしてまた、昼も夜も、そんな事はお構い無しに過ぎていく日常に、危うくめんどくさい事を忘れそうになる。
「レントゲン持ってきてー」
「生食とバケツ!」
「写真撮ったらすぐ開く用意して」
かえって、忘れてしまえたらもっと楽なんだろうな、と思った。
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