941人が本棚に入れています
本棚に追加
「オレがね白石に入るのがベストなんだ。
だけど、オレはあそこには何の興味もない。
でもそうする事で有馬さんに厄介事が飛ぶことを知らされて、……流石に親父を恨んだ」
陣内の声が骨を伝って聞こえて
腹の奥が燃えるようにユラユラと燻る。
「まあ、もうくたばる寸前だからあんまり話は出来なかったけど……
オレの母はね、親父とちゃんとした関係でオレを産んだ訳じゃなかった。
だけど親父は俺を認知して息子としてあの家に住ませたんだ。
彼らはお互い好き同士だったからね」
「陣内……くるし」
「我慢して、有馬さん」
ね、陣内。
陣内……
苦しいってば。
「お前に全部譲ってやる、そう言われて
正直、親父のもんなんかいらねぇ、って思ってたよ。
面倒臭いし、現に智也がいるし。
そしたら有馬さんが絡んでるし、親父にヤられたと思った。
親父はね色々ガタが来てる内部を立て直す為にオレを呼び戻したんだ。
オレは彼にとって血を分けた唯一の息子だからね」
「え?」
「智也はね、死んだ叔父さんの子。
叔父さんは親父の弟。めちゃめちゃ可愛がってた弟の子」
ね、有馬さん。
陣内は抱き締める腕を緩めることなく
私の骨に直接囁き続ける。
「さっきの彼女はね、オレが白石を継ぐなら
奥さんにしなきゃいけない子。
だけど、オレは白石は継がない。
今どき流行らないでしょ、そんな結婚」
じゃあなんで、朝も夜も一緒にいるんだ。
最初のコメントを投稿しよう!