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「彼女はね……まだ高校生なんだ。
古くからの権力者の家柄で
何処かの力のある家に嫁ぐのが当たり前みたいな
そんな家のお嬢さん」
な、な、なんだそりゃ。
「だからね、勘違いしてる。
白石に嫁ぐことが当たり前だってね」
「高校生……」
これくらいの年頃の子には肩入れしてしまう傾向にあるのは仕方がない。
私が腹を貸した子は今年、もう成人する筈。
月日が経つのが速すぎる。
「自分の意思でオレのところに来る訳じゃないんだ。
それにこっちの意思は伝えてあるからね?
オレはもうじき白石とは関係が無くなる。
オレが受け継いだものは智也とその息子に任せるから」
ね、有馬さん。
「ごめんね、危ない目に合わせて。
ブレイドを助けてくれてありがとう……
有馬さんが無事でホントに良かった」
「……見つかったんでしょ?犯人?」
「ああ、見つけた」
ギュウと益々強く抱かれた。
「ちゃんと見つけた」
「ひ、ゃ」
ハム、と含まれた耳朶をちゅう、と吸い上げながら
舌先でそこを甚振る。
「見つけて……ど、どーなったの!」
「……知らないし、知ってたとしても教えない
聞かない方がいい」
「わ!」
ね、有馬さん。
「イれていい?」
「よ、よくない!」
「そ、じゃイれて欲しいって思うようにしよっか」
外から見たオレンジの灯りはカーテンに遮られて
薄い色しか分からなかったけど
実際はこんなに眩しい。
キラキラと滲む光の粒がボヤけるくらいだ。
首筋を下りてくる陣内の唇が濡れた跡を引き
そこが空気に触れるとヒヤリとした。
抱かれたい、という欲求が湧く。
陣内の息が膚を撫で、そこからピリピリとしたものが拡がっていく。
「じん」
「ほら、欲しくなったでしょ」
ヨイショ、と言って私をソファへ倒し
ジョガーパンツと色気皆無のパンツを下ろす素早さは日に日にスピードを増すようだ。
“誰が直ぐに挿入られるか大会”があるならチャンピオンになる事は間違いない。
ね、有馬さん。
何度も呼ばれて、骨身に染み込んだ低い音。
この瞬間
もうどうなってもいい
そんな風に思ってしまった。
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