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「もう、加減出来ないけど……大丈夫?」
は?
これ以上、何をどーしようって言うんだ。
「貴女が望まないことだって
平気でスルよ?
ね、有馬さん」
陣内の目が意思確認をする為に
少しずつ左右に揺れる。
陣内のその“貴女が望まない”っていうのは
勿論、アレだ。
そういえば、私はさっき
二度と産みたくない、と言ったにもかかわらず
陣内はそれについてに何も言わなかった。
どうして。
陣内と私の間で蠢くのは
今の今まで身体のナカにあったモンスターだ。
コイツ……
コイツが吐き出したモノは普通の寿命なんて
関係ない気がする……
しかも……
もしそんなのが身体の中で暴れたら
タマゴちゃん1個を
寄ってたかってなにすんだ、お前たち!ってぐらい
苛めるかもしれない。
群がる陳内を想像したら
恐ろしくも、ちょっと面白かった。
そんな苛められて、弱ったとこに入られたら困る。
「陣内……
子供は、いらない。
もう産めないし、産みたくない」
あのね、怖いんだよ。
いくら腹を貸しただけの子だったとはいえ
あんなに苦しい思いをしてダした筈なのに
愛着さえ湧かなかった。
それはお金の為だったのかもしれない。
今度は違うかもしれない?
「有馬さん……」
「……ごめん、陣内、ごめんね」
すきになって、ごめんね。
でも、分からなくって
こんなに誰かに執着する気持ちは
分からなくって、周りがどうでもいいとか
自分もどうなってもいいと思うのに
「それだけは、ダメ……」
「有馬さん」
「それなのに、……きになって、ごめん……」
卑怯なことを言ったと思う。
陣内は、こんな風に言っても私を嫌いになる筈なんてない。
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