カルテ7ー2

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週末明けのだるい身体を引き摺りながら やっと変な2人組の着いて来なくなった道をフラフラと歩き病院を出た。 陣内はとうとう、土日まるまる現れなかった。 こんなことはめったにない。 こないだ……2、3日休んだのはきっと白石の葬式の時だ。 じゃあまた、なんかあったのか、と。 そのなんか、は、アレなんじゃないのか、とか ソレなんじゃないかとか。 余計な心配を巡らせる自分が鬱陶しい。 あー、朝陽、相変わらず眩しいなー、おぃ。 主任じゃないけど、髭でも生えているんじゃないかと思われる顎を摩りながら光の先を見上げて 見上げて…… クルリと反転して 「いや、なんで?」 いそいそと院内まで戻った。 「なんで隠れなきゃならない」 いつもの裏口から出て、ロータリーを辿りながらのそこで妙な光景を見た気がする。 ドキドキと焦る心拍が表現しているのは “不安と疑問”。 これだからめんどくさいんだ。 胸と喉の袂(タモト)にボールが詰まったみたいだった。 ああ、やっぱり。 陣内はこの週末にアレやソレをしたんだろう。 クソザルのヤロー、余計な吹き込みしやがって アイツ、次会ったらタマをガン蹴りしてやる。 なに?きっと 有力な両家の子女と? 子孫繁栄だー??? “ガン” 蹴っ飛ばしたのはその辺にあった自販だった。 ピンコンピンコンとアラームが鳴り出し、やべぇ!と心の中で唱えた私は一目散に正面玄関へ向かって逃げ出した。 いや! 逃げてない! 断じて逃げてなんかないぞーぉ!!
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